昨季のこと。
競技生活を続けることに赤信号が点った。

2月に開催される世界選手権に行く金がないのだ。
参加資格があっても、ナショナルチーム外の選手は自費参加となる。


「金がない。頼む、助けてくれ!」と友人に助けを求めたのは佐々木選手だった・・・。

ナショナルチームを外されたことで、選手生活はがらりと変わったそうだ。
欧州遠征では自ら車を運転。宿泊費、レンタカー代、リフト券代などは、すべて自己負担。

遠征先の合宿所は、狭い屋根裏部屋での生活。
食事も栄養バランスとはかけ離れた手づくりサンドイッチなどで空腹を埋める。
ときには食事できない日もある。
食費を削って移動のためのガソリン代に充てるためだ。


そんな彼を支援していったのは、中学時代からの友人で札幌市のプロスキーヤー井山敬介さんだった。
資金集めにかけまわり、300万円を世界選手権のために工面した。

おかげで佐々木選手は、世界選手権に出場した。
19位だった。
なんとか結果で恩返しができた。


そして・・・
今回のソチは、彼にとって最後の五輪。
結果は、トリッキーなセットの2本目序盤の難所でコースを外れ、敢え無くDFとなった。
「攻めた結果なんて決して言えない。ミスです」と佐々木選手らしいコメントだった。

4度出場した五輪。
「五輪は難しい。W杯と何が違うのか。結果を残した人しか分からないんだろうな」。
「アルペンは速く滑ればいい。単純だけど、そうするための答えが分からなかった。」

アルペン選手 佐々木は、あらたなスロープへと活躍の場を探していく・・・



ソチ五輪の日本のアルペン選手は、なんとも後味悪い結果に終わってしまった。
まだ、回転以外の種目や女子選手も参加していれば、
1点集中の期待とならずに済んだのかもしれない。


このように普段の選手生活を聞かされると、本当にいろいろと考えさせられる。

冬季のスポーツは用具、競技設備、移動等々で多くの資金を必要とする。
ごく身近な我々の選手レベルですら、年間にウン十万(限りなく百万)〜数百万円が飛ぶ。

日本選手が欧米で戦いたくても、そう簡単に行けないのが現実なのだ。



HPスキーの小野塚選手やアルペンボードの竹内選手など新種目の世界では
個人で海外へ飛び込んで武者修行をして成功を収めた話もある。

アルペンでも花岡萌 選手が同じような境地で頑張っていたようだが、
相当大変な思いをしたとブログでも語っていた。

ほかにも数名の日本選手が、海外へスキー留学しているが、
今後、結果が結んでいくのかが注目される。


成功すれば、その苦労も良い経験として思い出に残せるが、
結果がでないと・・・次へと繋がらない。



今大会のメダル獲得8個のうち、スキー関係(SAJ管轄)で7個という結果。

SAJという組織が今回の結果に満足して、
組織力で獲得したメダルと個人の力で取ったメダルがあるいう、
盲点へ陥らなければ良いと警告したい。


これからの日本のアルペン界は、どうすればいいのか?
そこを、組織として考え直す最後のチャンスが今だと思う。

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