秋田県は29日、東日本大震災を受け、進めてきた地震被害想定調査の結果を公表した。冬の深夜、日本海の3海域で連動する地震が起きる「最悪」の場合、死者1万2606人、負傷者1万4332人に上ると想定している。

 調査は県地震被害想定調査委員会(12人)が、県の地域防災計画を全面的に見直すため、昨年4月から進めてきた。

 内陸や海域を震源とする27の地震を想定。東日本大震災が連動型の巨大地震だったことから、県は連動型地震も考慮。発生日時を、冬の深夜▽冬の夕方▽夏の日中の3パターンに分け、人的被害や建物、ライフラインへの影響などをシミュレーションした。

 最も被害が大きくなるのは、3海域で連動して起きるマグニチュード(M)8・7の地震で、男鹿市や三種町で震度7となるケース。冬の深夜に発生した場合は夏の日中に比べて被害は大きくなり、死者は2・5倍以上に、負傷者は2倍近くに増えると予想されている。

 ただし、地震発生後に津波の浸水区域外に避難すると、人的被害は大きく減少するとしている。冬の深夜の場合、約6万棟が全壊し、約8万2000棟が半壊するとしている。

 陸域を震源とする単独の地震で最も被害が大きくなるのは、北由利断層の地震で、秋田市と由利本荘市で震度7と想定。冬の深夜の場合、死者1573人、負傷者9898人としている。

 地震の場合は、建物の倒壊による死傷者が約9割を占めるという。また、冬の場合は積雪で建物の倒壊が増え、避難に時間がかかることが懸念されている。

 調査委員会の委員長を務めた西谷忠師秋田大大学院教授は「いつ最大規模の地震、津波が発生しても県民の命を守れるよう、防災対策を地道に着実に進めてほしい」と話した。県は今回の調査を踏まえ、市町村と協議しながら、被害を軽減できる具体策を検討する方針。
(毎日新聞)