太田国土交通相は30日の閣議後の記者会見で、八ッ場ダム(長野原町)の2015年度完成を目指す現行の基本計画について、「事実上不可能。よく議論、精査して(完成が)何年ということを提起し直さないといけない」と述べ、見直す方針を明らかにした。ただ、見直しを終える時期や、完成時期の見通しについては言及しなかった。

 八ッ場ダムは工事用道路の整備など関連工事の手続きが始まったばかりで、本体工事着工のめどは立っていない。本体着工から完成までに7年が必要との見方もある。県関係者らは、現行の基本計画の期間内での完成は不可能とみて、国に対し「基本計画変更の手続きに早急に着手すべきだ」(大沢知事)と求めていた。

 ダムの基本計画は1986年に告示され、3回にわたって見直されてきた。3回目の2008年の見直しでは、完成時期が15年度に延長された。計画見直しは次で4回目となる。

 太田国交相の見直し表明について、地元は冷静に受け止めている。

 長野原町の高山欣也町長は「誰が見ても今の計画通りの完成は間に合わず、見直しはやむを得ない。遅れを取り戻すよう工期短縮などに努め、早期完成を望む」と語った。八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長は「いつまでもダラダラと工事が続くようでは困る。地元の声を新計画に反映してほしい」と訴えた。

 また太田国交相は記者会見で、基本計画で約4600億円とされている総事業費について「それほど増加するとは思っていないが、精査が必要だ」と述べた。

 総事業費は工事遅延による人件費の増加や、新たな地滑り対策工事などで、増額が避けられないとみられている。国交省が11年度に行った検証では、増額は約183億円と試算し、建設に反対する市民団体「八ッ場あしたの会」は、500億〜600億円規模の増額が必要になるとの試算を公表している。
(読売新聞)