信州大などの学術調査団は28日、長野県大町市の北アルプス・鹿島槍ヶ岳(2889メートル)にある「カクネ里雪渓」が氷河である可能性が高いとの調査結果を発表した。

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 昨年9月に本格調査に入り、巨大な氷の塊である「氷体」が、重力によって継続的に動いているのが確認できたという。国内では富山県内の3か所で氷河の存在が確認されているが、今後まとめる論文が学会で認められれば、長野県内では初となる。

 カクネ里雪渓は、長さ約700メートル、最大幅約400メートル、厚さ約40メートル以上の氷体。鹿島槍ヶ岳の北東側斜面、標高1800〜2200メートルに位置する。

 氷河と認められるには、氷体が自重で継続的に山を下っていることを裏付ける必要がある。

20160128-OYT1I50055-L 調査団は昨年9〜10月、ポール5本を氷体に打ち込み、全地球測位システム(GPS)で、ポールが移動しているかどうか測定した。その結果、昨年9月24日から10月18日までの間に、中流部に設置したポールが15〜17センチ、上流部と下流部では12〜13センチ、動いたことが確認された。

 大町市役所で記者会見した調査団団長の小坂共栄ともよし・信州大山岳科学研究所特任教授は「確実に氷体が移動していることが認められた」と話した。

 調査団は3月の日本地理学会で調査結果を発表後、日本雪氷学会に論文を提出し、受理されれば正式に氷河と認定される。

 国内では、いずれも富山県の立山連峰にある剱岳(2999メートル)の三ノ窓、小窓の両雪渓の2か所と雄山おやま(3003メートル)の御前沢雪渓の計3か所の雪渓が氷河と認定されている。


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