白馬村、訪日客急増でシャトルバス

96958A998 白馬村は12月から、大町市、小谷村や新潟県の糸魚川青年会議所と共同で、夜に外国人のスキー客を白馬地区から大町市中心部などへ運び、各地で夕食を楽しんでもらうシャトルバスの運行を始める。白馬村では外国人客が急速に増えた。村内の飲食店では吸収しきれず、食事に困る「夕食難民」が出ているのに対応する。大町市など受け入れ先は冬の外国人客集客に期待する。

 白馬村に数多く訪れるオーストラリアなどからの外国人客は宿泊施設で夕食をとる習慣がないうえ、1週間以上の滞在も多く、白馬村で様々な飲食店を食べ歩く客が多い。「外国人客の急増に村内の飲食店が予約を受けきれず、食事ができずに困る外国人も目立つようになった」(同村)という。

96958A 白馬村などはバス会社に運行を委託してマイクロバスを用意。白馬八方尾根スキー場の近くにある白馬八方バスターミナルを起点として夕方に出発し、夜に各地から白馬に戻る。国道で結ばれている周辺市村へのバス運行により夕食を楽しみたい外国人客を分散できるようになる。

 大町市、小谷村便は外国人客の数がピークを迎える12月23日〜2月15日に、糸魚川市便は1月に1〜2週間運行する予定だ。

 大町市便は、JR信濃大町駅周辺の中心市街地4カ所とを約30分で結ぶ1往復で、料金は片道500円の予定。外国人接客の研修を受けるなどした和食店、焼肉店など16店をバスの案内のホームページ上やチラシで紹介し期間中2000人の利用を目指す。

 小谷村便は、栂池高原などスキー場を中心とした村内4カ所とを約20分で結ぶ2往復で、料金は片道300円の予定。割安な回数券の発行も検討する。同村中心部の飲食店約30店は大半がスキー場の近くにあり、ホテルのレストランを利用する外国人客も多い。期間中600人の利用を見込む。

 糸魚川市便は、JR糸魚川駅前までを約1時間で結ぶ1往復で料金は片道500円。「外国人客に新鮮な海の幸を食べたいという要望が多かったことに対応する」(青年会議所)といい、運行時には英語のメニューをそろえた和食店など駅前周辺10店を紹介するチラシも配る予定だ。

96 白馬地域のスキー場は雪質などが評価されてオーストラリア人などの来訪が増えた。2014年に白馬村に宿泊した外国人客は前の年に比べ28%増の7万7724人で県内市町村でトップだった。

 周辺市村は、冬の外国人客の割合が少なく「知名度向上で大町温泉郷などへの宿泊客を増やす」(大町市)、「帰りに糸魚川に寄って北陸新幹線で東京に向かう回遊ルートを作りたい」(糸魚川青年会議所)と集客につなげたい狙いがある。
(日経新聞)