死因は心室細動
AEDはあったが、設置場所は建物の中で施錠されていたため、直ぐに使えず
 

 山形で高野球部の2年男子生徒(16)が部活動中に倒れ、搬送先の病院で死亡した。死因は拡張型心筋症による心室細動。生徒に持病はなく5月の健康診断でも異常はなかったといい、学校側は当時の対応について問題はなかったとの認識。

 生徒は16日午後7時47分ごろ、学校内のグラウンドでインターバル走をしていた際、突然うずくまり、けいれんを起こした。近くで指導していた監督が現場にいた顧問に救急車の要請を指示する一方、気道確保や胸部圧迫などの処置を実施。119番通報から8分後に救急隊員が到着したが、生徒は既に意識不明で心肺停止状態だった。搬送先の病院で治療を受けていたが、18日午後6時35分に死亡が確認された。

 野球部は夏の高校野球大会に向けて16日から校内合宿を行っていた。生徒は同日、通常通り授業を受け、普段と変わった様子はなかったという。放課後の講習に出た後、午後5時25分ごろから練習に参加。インターバル走は普段から練習の最後に行っており、生徒は300メートル10本のうち5本を行った後に倒れた。

 心室細動を治療する自動体外式除細動器(AED)は校内2カ所に1台ずつあったが、使用しなかった。グラウンドから近い設置場所は夜間で施錠されており、取りに行くのに時間がかかると判断したという。AEDによる処置は救急車に搭載された機器で行われた。

 学校校長は会見で「明るく活発な生徒で部活動にも熱心だった。夢が絶たれて残念極まりない」と沈痛な表情を見せ、倒れた後の対応については「最善を尽くしたと考えている」と答えた。教育委員会ではAEDの設置場所に関し「見直しを含め早急に検証する」とした。

 野球部は現在は練習を自粛している。夏の大会には参加する予定という。

【メモ】心筋症は心臓の筋肉の壁が厚くなったり、逆に薄くなったりして心臓の機能に異常が生じる病気で、多くは原因が不明。重篤な場合、心室がけいれん状態になって心臓のポンプ機能が失われる心室細動を引き起こすケースもある。県立中央病院の松井幹之内科医長によると、拡張型心筋症は心室の壁が薄く伸びて血液をうまく送り出せなくなり、息切れやだるさなどを感じる。スポーツ中の突然死の原因で多いのはむしろ肥大型心筋症で、心臓の筋肉が厚くなって内部が狭くなり、十分な量の血液を送り出せなくなる。心室細動にもなりやすい。


休日や早朝・夜間に学校グランドで運動する際、
校舎内に設置されているAEDが施錠で中に取りに行けないケースはあると思います。
私が行っている少年サッカーの練習会の場合、
施錠で校舎内へ入れない際は、バールなどでガラスを破り、取りに行ってよいことになっています。
とっさの判断が必要ですが、普段から意識しておく必要がありますね。
映像を見て、勉強しておこうと思います。