北海道豊浦町東雲町の国道37号沿いに、有珠山の溶岩プレートで焼く「ジオパークピザ」を売りにした、石窯ピザの店が開店準備中だ。10年前、フリースタイルスキー競技者の道から、料理の世界に飛び込んだ店主は「地元の人が気軽に集まる店にしたい」と意気込んでいる。

20130831m07 店主は神奈川県出身で、豊浦郵便局の元局員、橋本光快さん(39)。29歳までモーグルの選手として活動後、けがを機に第一線を退いた。「結婚も重なり、安定した仕事に就かなければ」と郵便局に就職したが、競技生活中に飲食店で働いた経験から料理人への憧れが強くなり、同局を2年で退職。31歳から6年間、洞爺湖町の有名店「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ」で修業を積んだ。

 その後も2年半にわたり、札幌・円山のフレンチレストランなどで腕を磨き、独立を考えていた昨年暮れ、豊浦町内で店舗物件が見つかり「環境が良くて、10年以上お世話になった豊浦で店を出したい」と決意。5月から開店準備に取り掛かっている。

 外装を塗り替え、内装は元大工の友人の手も借りながら、妻・早苗さん(33)とほぼ2人で改修。カウンター含め客席は20席ほど。店の顔となる石窯は、炉床に有珠山の溶岩石から切り出したプレートを使い、「豊浦の食材をメーンに、ジオパークを意識した」ピザを考えている。

 店名は、趣味のサーフィンと「誰もが知っていて覚えやすい」という理由で「namihey pizza(なみへいぴざ)」にした。消防と保健所の検査を経て、9月中ごろのオープンを目指している。

 溶岩プレートを使い、地元食材にこだわったジオパークピザを常時提供するのは今のところ、伊達市大滝区の道の駅フォーレスト276大滝のみ。食を通じた活性化に力を入れる洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会は、「ジオの恵みを広く発信してほしい」と橋本さんに期待を寄せている。