徴収した入山料、使途が検討課題 (読売新聞)

 協力金として、7月25日〜8月3日の10日間、午前9時〜午後6時に登山者から任意で1000円を徴収


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 世界文化遺産に登録された富士山への入山料(利用者負担)の試験的な導入が28日、静岡、山梨両県の自治体や観光団体などの関係者で構成する「富士山世界文化遺産協議会作業部会」で決まった。7月25日〜8月3日、登山者から1000円を目安に寄付を募る。これまで試行に慎重な姿勢を示していた山梨県側からも目立った反対意見はなかったが、入山料の具体的な使い道は決まっていない。


 静岡県側では午前9時〜午後6時、富士宮、須走、御殿場各ルートの5号目登山口に係員を配置し、「富士山保全協力金」としての寄付を呼びかける。協力者には記念の缶バッジと領収証を手渡す。1000円を目安に寄付を募るが、それ以外の金額でも受け入れる。
 ただ、期間中には山岳レースの大会が予定されており、具体的な試行日は両県などで調整し、7月上旬に正式に決まる見通しだ。荒天時は試行を中止する。

 入山料は、環境保全や登山者の安全対策を目的に集めるが、具体的な使途は決まっていない。この日の会合でも、山梨県側の担当者が「具体的な使い道をどうするかは今後の検討課題」と説明するにとどまった。


◇金額と使途、明確化急げ
 富士山の入山料導入に向けて、静岡、山梨両県は大きな一歩を踏み出した。富士山の夏山登山者数は、環境省が調査を始めた2005年と比べ、12年は1・6倍の約32万人に増加。今夏は世界遺産の登録効果でさらなる登山者が見込まれる。
 こうした状況を踏まえ、環境保全や安全対策にかかる費用を登山者に求めることは理解できるが、性急に決まった感は否めない。両県は「納得づくめで結論を出したい」(川勝平太・静岡知事)としていたが、関係者には戸惑いもある。静岡県側の山小屋関係者は「集めたお金の具体的な使い道が不透明だ。お金が入ってから使い道を考えるのはおかしい」といぶかしむ。
 利用者負担のあり方を検討している、両県の有識者会議の委員を務める岩手大の山本清龍准教授(公園計画)は「入山料を集める目的を明確にして試行しないと、次のステップにつながらない」と指摘する。
 両県は今後、富士山の保全活動にかかっている費用を積算し、それを参考にしながら入山料や使途を決める考えだ。両県は来夏には本格導入を予定しているが、登山者の理解を得るためにも、一刻も早く使途や金額を明確にする必要がある。