東京都などは2022年度をメドに京王線の笹塚―仙川間(約7.2キロメートル)を高架化する。25カ所の踏切を撤去し、交通渋滞や地域の分断を解消する。京王電鉄は高架化完成後、輸送力増強のため複々線化工事に着手する。世田谷区は明大前駅周辺などに広場や道路を整備し、南北をつなぐ交通アクセスを改善する。

 高架化の総事業費は約1500億円。原則、都や国、世田谷区などが85%、残りを鉄道会社が負担する。都は今年度に国の事業認可の取得を目指す。

 笹塚―仙川間の25カ所の踏切はすべて、朝のラッシュ時1時間に40分以上遮断機が下りたままの「開かずの踏切」だ。例えば代田橋駅の近くの井の頭通りの踏切は最も長い時で270メートルの踏切待ち渋滞が発生している。

 高架化でこうした渋滞や踏切事故がなくなるほか、緊急車両の通行もスムーズになる。都の幹部は「道路を地下に潜らすなどするのに比べ線路を高架化した方が効率的」と語る。

 高架化後、京王電鉄は笹塚―つつじケ丘に地下トンネルを掘って複々線化し、輸送力を上げる。多摩地区から都心へのアクセスが向上する。現在の同区間の運行本数は上下合わせて1日約800本。同社は「ダイヤ編成などによるため現時点では何割増えるかは分からない」としている。

 高架化に伴い、世田谷区は乗降客数が多い明大前駅と千歳烏山駅にバスやタクシーなどが乗り入れできる駅前広場をつくる。

 現在、例えば明大前駅では約200メートル離れた甲州街道などに行かないとタクシーをつかまえにくい。周辺は住宅が密集しており、災害時の緊急避難場所としても広場が必要とされている。

 両駅周辺には南北をつなぐ新たな道路も整備する。明大前では等々力方面まで延びる約7キロメートルの補助第154号線を整備中で、約9割が完成している。高架化の完了時期に合わせすべての工事が終わる見通し。

 千歳烏山では多摩川周辺まで行く約9キロメートルの道路をつくる計画を立てている。

 世田谷区は南北に延びる幹線道路が主に環七通りと環八通りしかなく、幹線道路の渋滞を引き起こす原因になっている。畝目晴彦鉄道立体・街づくり調整担当課長は「南側には区の施設や病院、公園などがある。新しい道路は区民らの生活に欠かせない交通軸になる」と指摘する。
(日経新聞)