80歳で3度目のエベレスト登頂に成功し、帰国したプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは29日、校長を務めるクラーク記念国際高校東京キャンパス(東京都新宿区)で会見を開き、「標高8千メートル超で手巻きずしを食べたり、お茶会をしたりして十分楽しんだ。そして苦しみながら命がけで夢を達成できた」と笑顔で遠征を振り返った。

 登頂後、8500メートル地点で脱水症状のため休憩し、標高7980メートルのキャンプへの下山に9時間超かかった三浦さん。「8500メートルのキャンプで休憩できなければ、生きて帰れなかった」と極限状態だったことを明かした。ともに登頂を果たした次男の豪太さん(43)も「倒れ、動けなくなっても回復し、諦めないあの生命力が、父の強さだと思った」と話した。

 キャンプ2(C2、6500メートル)への下山には通常の倍以上の13時間を要し、家族や関係者をやきもきさせた。C2で待機していたチームドクターの大城和恵医師(45)は、月明かりの中、C2にたどりついた三浦さんの姿を振り返り、「生きるということは本当に尊いことなのだと思った」と涙ぐんだ。

 三浦さんは次の挑戦について「親子でヒマラヤのチョー・オユー(8201メートル)の頂上からスキーで滑ってみたい。親子3代、4代と、いろいろなチャレンジができる」と目を輝かせていた。