日差しが強まり、紫外線対策が気になるこの季節。化粧品メーカー各社から、1月に追加された新基準に対応した製品が続々と発売されています。新基準「PA++++」とは何でしょうか。

i02_img02

 「PA」とは、日焼け止めの紫外線防止効果を表す基準のことです。昨年までは「PA+++」を最高とする3段階表示でしたが、「PA++++」が追加され4段階になりました。

 地表に届く紫外線には、紫外線A波(UV-A)と紫外線B波(UV-B)の2つがあります。UV-Aは、雲や窓ガラスを透過して肌の奥の真皮まで到達し、シミやしわ、たるみなどの「光老化」の原因となります。「PA」はProtection Grade of UV-Aの略で、このUV-Aを防ぐ効果を表し、「+」の数が増えるほどUV-Aの防止効果が高まります。

 一方、紫外線UV-Bは、肌の表面に作用してシミやソバカスの原因となります。UV-Bの防止効果は「SPF(Sun Protection Factor)」で表されます。

 このように、日焼け止めには「PA」と「SPF」が併せて表示されていますが、なぜ「PA」だけ基準が改定されたのでしょうか? 理由は、大きく分けて3つあります。

 1つは、UV-Aの防止効果を測定する技術が進歩し、効果をより細かく分類表示できるようになったことです。

 2つめは、日焼け止めに使用される紫外線散乱剤や吸収剤などを組み合わせる技術が向上して、より防止効果の高い製品が作られるようになり、製品ごとのUV-A防止効果に差が出始めたためです。

 3つめは、消費者のニーズの変化です。従来は紫外線対策といえばUV-B対策が重視されていましたが、「光老化」のメカニズムが解明されるにつれて、UV-A対策にも消費者の注目が集まるようになりました。そのため、UV-A防止効果に対するニーズに合わせて商品を選択できるように基準が改定されたのです。

 気になるのは、製品が高性能化することで、肌への負担が増えたり、使用感が悪化したりしないかということです。資生堂広報部は「弊社製品の場合、防御効果成分と潤い成分を最適な比率で配合していますが、防御効果成分の中にも潤い成分になじみやすい新成分を配合して、防御力の高さと快適な使用感を両立しています。肌への悪影響はとくにありません」と話しています。

 ただ、肌のデリケートさや使用感には個人差があります。肌の弱い人や肌への影響が気になる人で外出する機会が少ない人は、PA+〜PA+++製品を選ぶなど、シーンに応じて日焼け止めを選ぶのがよいそうです。

 PA++++商品の売れ行きについて、資生堂広報部では「立ち上がりとしては早い段階で推移しています」と話しています。

(THE PAGE)