野沢温泉に冷房用雪室、建設へ 雪を新エネルギーに 信濃毎日新聞

3001 長野県下高井郡野沢温泉村は、巨大な雪室(ゆきむろ)を造って夏場の冷房などに利用する計画を進めている。同村豊郷のレジャー施設「野沢温泉アリーナ」のプール棟跡地の一画に年内に建て、来年度の利用開始を目指す。豪雪地帯にあることを逆手に取り、雪を新しい自然エネルギーとして活用したい考えだ。

 村総務課によると、縦10メートル、横15メートル、高さ4メートルほどの雪室を建てる。長野県内では他にあまりない規模だという。湿って雪の密度が高くなる3月ごろにアリーナ駐車場の雪を集め、約300トン貯蔵する。7月中旬〜9月中旬の同施設の冷房に使う。

 雪解け水で冷たくした不凍液をアリーナ会議棟の食堂や休憩所に送り、室温を下げる仕組みだ。雪を入れて酒や野菜などを貯蔵する冷蔵倉庫も設ける計画。災害時には物資を保管する拠点にもする。ともにことし5月に建設工事の入札を行う。

 雪氷熱利用に詳しい公益財団法人雪だるま財団(新潟県上越市)から技術支援を受けた。同財団によると、新潟県では雪室を使った冷房は盛んだが、長野県内ではあまり多くないという。同じく財団が支援する同郡山ノ内町も本年度、志賀高原農協の倉庫を改修して雪約150トンをためる雪室を設ける計画だ。

3002 野沢温泉アリーナのプール棟は、2008年に天井を支える柱の腐食が分かり、その後解体された。村は跡地に露天風呂を建設する。一方、12年3月に作った村地域新エネルギービジョンで「地域特性に合致した新エネルギーの導入」を柱の一つに掲げており、同ビジョンに基づき雪室建設を決めた。本年度一般会計当初予算に、露天風呂や雪室などの整備費約6億1千万円を盛っている。

 村の試算では、雪室の利用で夏季の約2カ月間に約8トンの二酸化炭素(CO2)削減につながるという。富井俊雄村長は「(雪室建設は)雪との共存を考えた結果。新エネルギーの一つとして雪の活用を進めたい」と期待していた。