北アルプス・白馬岳(2932メートル)の大雪渓で27日に起きた雪崩事故。前日からの悪天候の中で山スキーを楽しむために訪れた岐阜県のパーティー6人が雪崩に遭い、女性(56)1人が行方不明となった。大町署員らに付き添われて下山した5人は、女性の安否を気遣いながら、「判断ミスだった」とうなだれた。
 白馬岳の大雪渓は、万年雪を楽しめる人気の登山コース。ただ、V字型の地形のため、新雪や気温の上昇などで雪崩が起きやすい危険な場所でもある。2年前の大型連休中も、雪崩で3人が死亡した。今年も26日から吹雪が続き、地元の山岳遭難防止対策協会は27日早朝から登山自粛を呼びかけていた。
 6人は、岐阜市役所山岳部などに所属。26日夜に出発し、27日午前7時半頃から登山を始めた。29日に下山する予定だったという。下山後に取材に応じた同市職員、田中幸男さん(56)によると、雪崩が起きたのは午前10時半頃。「雪崩は突然、正面から音もなく来た。記憶がないくらいあっという間で、逃げることもできなかった」という。
 雪崩の規模は幅50〜60メートル、長さ300〜400メートル。自力で雪の中から脱出できた田中さんは、無事だった別の男性と協力して3人を掘り出したが、女性1人はビーコン(電波発信機)でも発見できなかったという。
 田中さんは登山歴約20年。登山自粛の呼びかけについて「直接は聞いていないが、知っていた。ただ、天候回復が望めると思って入山した。判断ミスだった」と唇をかんだ。



GW登山「天候次第で冬山そのもの」 季節変わり目で雪崩多発

 27日に発生した北アルプス白馬岳の雪崩事故。1人が死亡し、現場で別のパーティーのリュックサックも見つかった。ゴールデンウイーク中は登山者も増えるが、専門家らは「季節の変わり目で雪崩が発生しやすい」と危険性を指摘する。

 登山家の田部井淳子さんは「連休の時期は、寒くなったり暖かくなったりで、雪の締まり具合が変わりやすい。雪崩が起きやすく、判断が難しい季節だ」と警鐘を鳴らす。「より慎重に天気予報をチェックしたり、数日前からの積雪状況を確認したりして、時には登山をやめる心の余裕も必要だ」

 「雪崩の発生条件がすべてそろっていた」と話すのは北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会の降籏義道救助隊長。26日から降り続いた雪が30〜40センチほど積もっており、表層の雪が流れ落ちやすい状況だったという。降籏さんは「春山は天気が悪くなれば冬そのものだ」としている。