体罰、暴力の相次ぐ発覚は「氷山の一角」

 ロンドン五輪代表を含む柔道女子の国内トップ選手15人(引退選手含む)が、全日本女子の園田隆二監督やコーチの暴力やパワーハラスメントを集団で告発した異例の事態を受け、日本オリンピック委員会(JOC)は30日、東京都内で記者会見し、告発の経緯や被害の一端を明らかにした。高校スポーツも含め、体罰、暴力の相次ぐ発覚は「氷山の一角」ともいえ、スポーツ指導のあり方が問い直されている。

 JOCは、昨年11月下旬に選手の関係者を通じて、暴力やパワハラの実態を初めて把握したという。12月4日にJOCに届いた告発文書には、大会や全日本合宿で園田監督やコーチ陣による暴力、暴言、脅しにおびえた選手の訴えが記されていた。選手から事情を聴いたJOCの平真事務局長は「合宿などで『死ね!』と言われたこともあったようだ」と説明。選手には従わないと代表から外される不安もあった様子で、「暴力を受け、顔では笑いながら怖かったのでは」と話した。
(毎日新聞)



◇女子柔道トップ選手 暴力、パワハラ告発
 
 柔道の国内トップレベルにも暴力が横行する現実が明らかになった影響は、一競技団体だけにとどまらない。30日に都内で会見した日本オリンピック委員会の市原専務理事は「今後もこういうことがあるかもしれないし、あると思っている。しっかりと対応していかないといけない」と険しい表情を浮かべた。柔道以外の競技からも、選手に対する指導者による暴力などの告発が続く可能性を認めた形だ。

 他競技でも同様の訴えが続出すれば、東京が目指す20年五輪招致にも影響しかねない。全柔連が開いたこの日午前の会見には、フランスのAFP通信の記者も出席。「日本の柔道の指導には暴力は付き物なのか?」と質問するなど、海外メディアも注視した。日本の未成熟なスポーツ文化が世界中に配信され、開催地決定の投票権を持つIOC委員が暗い現実を知る。こんな機会が増えれば、五輪招致への“逆風”になるのは間違いない。

 この日、東京招致委員会は今月10〜20日に行った都民に対する支持率調査の結果を発表した。前回の調査よりも「賛成」が7ポイント増加し、5回目の調査で初めて70%超えとなる73%をマーク。市原専務理事は「(招致への)影響はない」と断言したが、今後の展開次第では支持率に響く可能性は否定できない。

 最大の課題とされるIOCの支持率調査は1〜2月に実施されるとみられる。JOCの橋本聖子理事は「スポーツ界で早急に対応し、五輪招致にマイナスにならないようにしないといけない」と指摘した。3月上旬にはIOC評価委員会の現地調査も行われる。IOC名誉委員の猪谷千春氏は「幸いなことに開催都市決定まで、まだ8カ月残っている」との見方を示し、招致委の水野正人専務理事は「右往左往せず、やるべきことをやるだけだ」と強調した。
(スポニチアネックス)


米オリンピック委員会(USOC)の「SafeSport」プログラム
 USOCでは、コーチ・選手間やチームメイト同士における不法行為(Misconduct)を防止するために「SafeSport」と呼ばれるプログラムを設けている。ここで言う「不法行為」とは、いじめやハラスメント(肉体的・心理的虐待)、性的虐待などを指す。

このプログラムでは、

 「トップレベルのエリート選手ほど不法行為を経験しやすい」

 「不法行為は結果的に選手のパフォーマンス低下につながる」

 「体罰が指導の一環であると言う考えはいかなる場合も受け入れられない」


という共通理解の元、選手やコーチ、親などの関係者に啓蒙活動を行っている。

 「SafeSport」の公式HPでは、「良くある誤解」という形で虐待に関する誤った理解を正したり、ハンドブックを提供するなどの実践的な支援を実施している。
SafeSport