中国で深刻な大気汚染が連日続き、市民生活にも大きな影響が出ている。北京では30日、有害物質を含んだ霧が街を覆い、日本人学校や欧米の国際学校は屋外での体育の授業を取りやめた。高速道路では約40台の衝突事故が起き、工場は操業を停止した。

 特に深刻なのは、北京市や河北省、山東省、天津市など。北京の米国大使館などの測定で、肺がんやぜんそくなどを引き起こす微小粒子状物質「PM2・5」の大気中濃度が29日には一時、世界保健機関(WHO)の環境基準の約20倍に達した。

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 北京紙・新京報によると、汚染物質を含む霧に覆われたのは全国で約130万平方キロに達した。日本の総面積の約3・5倍にあたり、広範囲にわたり昼でも夜のように薄暗くなった。北京市政府は、100社以上の工場の操業を止め、公用車の使用を30%減らすなどの緊急策を取った。

 北京の日本人学校では、30日もPM2・5が厳重汚染にあたる「危険」の数値を超えたため、屋外での体育授業を中止し、外で遊ばないよう指導した。屋外活動の禁止は、7日から始まった新学期ですでに8日目になり、「校庭でも遊べず、子供にもストレスがたまる」(同校)。
 北京のフランス国際学校は今月の大半、体育の授業を中止。米国や英国、カナダの国際学校も屋外活動を室内に切り替えた。

 北京の日本大使館は「想定をはるかに超す汚染レベル」とし、外出時には工事現場で使う特殊マスクをつけ、室内では空気清浄機を使うよう呼びかけている。「駐在員を帰国させた方がいいのか」との問い合わせや、オフィスや社員の自宅に空気清浄機を設置する企業も出ているという。


■日本への影響「すぐにはない」
 環境省によると、冬は放射冷却で大気汚染物質を含む冷たい空気が地上付近にたまりやすいという。「日本でもやや高い数値はあるが、直ちに健康に影響があるレベルとは考えにくく、特に注意を呼びかけるようなこともない。住民らも冷静な対応を」と話す。
 ただ、中国からの汚染物質の影響は以前から指摘されてきた。海洋研究開発機構の金谷有剛主任研究員らが昨年シミュレーションで調べたら、大気中のPM2・5のうち中国由来が占める比率は九州、四国、中国地方では約5割、近畿地方でも約4割だったという。

 中国などからの越境大気汚染を研究する九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授によると、こうした有害物質は毎年、3月から梅雨前にかけて、西からの風によって日本へと運ばれてくる。越境大気汚染は10年ほど前から顕著になっているが、九州上空では中国の10分の1以下の濃度になっているという。
 竹村准教授は「日本で健康な人に影響が出るレベルではないが、ぜんそくなど呼吸器系の疾患などのある人は注意が必要」と話す。
(朝日新聞)


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NASAが公開した上空から撮影した写真。左の写真は大気汚染が起きて以降の1月14日、右はその前の1月3日の北京上空。左の写真の白い部分は雲だが、半透明の(赤丸)部分は、すべて大気汚染によるものという。大気汚染発生前と比べ、北京がぼんやりとしか見えなくなっている。

海を隔てた隣国の事ではあるが、春に偏西風に乗って黄砂が飛んでくる日本にとっては、この大気汚染は他人ごとではない。
冬季に中国(上海、北京など)へ行くと、空は快晴なのに太陽が霞んでいたのを思い出します。