高山市丹生川町のほおのき平スキー場で開幕した第38回東海社会人スキー選手権(読売新聞社など主催、高山市共催)が5日〜6日の日程で行われた。

 男子壮年1部
 男子壮年2部
 男子壮年3部
 男子成年1部
 男子成年2部
 男子青年
 女子1部
 女子2部
 女子3部


【岐阜県勢】
 初日の5日、大回転男子の3部門が行われ、岐阜県勢は壮年1部(36〜44歳)で大沼忠之選手(朴の木平スキークラブ)が優勝、溝脇欽也選手(平湯温泉スキークラブ)が3位となった。また、同2部(45〜54歳)で中沢徹選手(同)が2位、同3部(55歳以上)で伊藤正弘選手(中津川スキー協会)が2位、三島孝三選手(荘川スキークラブ)が3位に入った。6日は、青年と成年男子、女子が行われる。
 
801 清流国体の雪辱「うれしい」笑顔
 壮年男子1部で初優勝した大沼忠之選手(36)(朴の木平スキークラブ)は、地元の小中学生にスキーを教えながら競技を続けている。これまでなかなか思うような成績が残せずにいたが、「優勝できてうれしい」と笑顔を見せた。
 これまで育てた選手の中には「ぎふ清流国体」の上位入賞選手らもいて、「自分が出せなかった成績を出してくれた。教える喜びも感じた」と語る。
 高山市で生まれ育ち、中学生で本格的に競技を始めた。高校3年でスキー部の主将を務め、卒業後は岡山県で4年間、実業団に所属した。
 ぎふ清流国体では予選で敗退し、悔しさを胸に臨んだ今大会。国体出場選手を下して栄冠を勝ち取り、「選手とコーチとを両立させ、教え子に手本を示したい」と、次の秋田国体での活躍に意欲を見せていた。


【愛知県勢】
 初日の5日、大回転男子の3部門が行われ、県勢が2部門を制した。壮年2部(45〜54歳)の田中亮英選手(リベルテSC)が1、2本目ともにトップタイムで連覇を果たし、同3部(55歳以上)の三島由一選手(チームスカイ)は初優勝を飾った。同1部(36〜44歳)では、樋口栄一選手(リベルテSC)が2位に入った。

807 壮年2部で連覇を果たした田中亮英選手は、会心のレースをこう締めくくった。「この板に、お礼を言わないといけませんね」
 昨年はこの大会で4年ぶりの優勝を飾った。そのうえで、上位を目指して挑んだ「ぎふ清流国体」だったが、思うような滑りができず、不本意な結果に終わった。「精神的に落ち込みました」。気持ちが乗らず、今シーズンの初滑りも12月末にずれ込んだ。
 そんな中、スクラップ寸前だったという3、4シーズン前のスキー板を「ひらめき」で使ってみたところ、これが好転のきっかけになる。「年をとって筋力が落ちた分、使い込んでへたった板の状態が今の自分の滑りに合った」と、笑顔を取り戻した。
 「もう一度、滑りを磨き上げて国体に向かいたい」。以前の“相棒”と、今度は円熟の滑りを見せるつもりだ。


【三重県勢】
 初日の5日、大回転男子の3部門が行われ、壮年2部(45〜54歳)の松岡幸哉選手(松阪レーシング)が県勢最高の9位に入った。同3部(55歳以上)は高橋一広選手(アルペンスキークラブ)が14位、同1部(36〜44歳)では橋本和典選手(津スキー協会)が15位、河合伸郎選手(スノーメイト名張)が18位と健闘した。

802 順位にも、タイムにも満足はしていない。ただ、上位を目指して果敢に攻めた2本目は「雪面からスキー板に受ける圧力を感じながら、しっかり滑ることができた」。県勢最高の9位に入った松岡幸哉選手(47)は、そう言って顔をほころばせた。
 年末年始は、群馬県内で行われた県スキー連盟の強化合宿に参加。4日は教べんを執る松阪商高での仕事を終えてから、夜中に会場入り。強行軍をものともせず、「記憶がない」という大会初のベスト10入りを果たした。翌週には国体出場権をかけた県予選が、今大会と同じコースで行われる。県高体連のスキー専門部の担当も務めるが、「選手としては、もう何年も国体に行っていないので」と意欲を見せた。


 最終日の6日、大回転6部門が行われ、三重県勢は青年の部(25歳以下)で高橋史也選手(アルプススキークラブ)が連覇を果たした。成年男子2部(31〜35歳)では鳥山真也選手(松阪レーシング)が2位、森川幸彦選手(藤原スキークラブ)が3位に入るなど、三重県勢の活躍が目立った。

805 継続は力なり。
 成年男子2位に入った鳥山真也選手(34)の滑りは、まさにこの言葉を体現している。勝負のかかった2本目。エッジを効かせてスキー板を操り、スピードに乗った。しかし、ゴール手前の急斜面で大きく体を振られ、「コースアウトしそうでした」。それでも、鍛錬を重ねた強い足腰で持ち直し、1分10秒台の好タイムでフィニッシュラインを越えた。
 成年男子1部から通算して、これで6年連続2位に。「できればトップになりたいですが、まだそこまでの力がないということです」と苦笑いする。今年の国体では、昨年のぎふ清流国体(成年男子B)の9位を上回る順位を目指す。「克服しないといけない課題がたくさんあるので頑張れる」。その表情は、どこか誇らしげに見えた。


【静岡県勢】
 初日の5日、大回転男子の3部門が行われた。静岡県勢は壮年1部(36〜44歳)で、友井孝浩選手(ローカスSC)が4位、同2部(45〜54歳)で、小西啓志選手(同)が10位に入った。

803 壮年男子1部で県勢トップの4位となった友井孝浩選手(36)(ローカスSC)が、前年に成年男子2部で出した同じ成績(4位)を残した。今大会では1本目に比べて2本目の成績が振るわず、「体力不足です」と反省しきり。昨シーズンなら11月末から始めている練習だが、今季は仕事が忙しくなったため、12月末から1週間ほどしか出来なかったのが響いたという。
 だが、「秋田(の国体)でいい成績を残したい」と次を見据えていた。


 最終日の6日、大回転6部門が行われ、静岡県勢は女子2部(31〜44歳)の神谷久美子選手(ヤマハ発動機スキースノーボードクラブ)と女子1部(30歳以下)の久保田恵里選手(富士市スキー協会)がともに3位と健闘した。

806 神谷選手は2001年、ヤマハ発動機に入社と同時にスキー部に入り、スキー競技に本格参戦。昨年は入賞を逃したが、今年は一気に表彰台に上った。「同じスキー部の先輩や県の人たちから教えてもらったお陰です」と謙遜する。
 今大会は前回からスキー板を替えて臨んだ。「いい滑りでもなく、まだ感覚をつかめなかったが、タイムも順位も良かった」と笑顔を浮かべ、「シーズン初めでいいスタートが切れた。国体の予選でも頑張りたい」と意欲を見せた。

(読売新聞より引用・編集)