中学生のスポーツ活動のあり方は (長野) (産経新聞)

 中学生のスポーツ活動のあるべき姿を探るため、長野県教育委員会は、医療関係者ら有識者、スポーツ指導者、保護者などで構成する「県中学生期のスポーツ活動検討委員会」を設置した。各種競技大会の成績低迷に悩む一方で、学習や家族の時間に食い込む過度なスポーツ活動を指摘する声が上がる二律背反的な状況に置かれた県内で、運動部活動を本格的に論議する初めての取り組み。部活動が適正で効果的に行えるような指導のあり方を指針として今年度中にまとめる予定だ。

 県教委がまとめた県内中学生のスポーツ活動状況によると、運動部への加入率は平成23年度で61・3%で年々、微減傾向をたどっている。特に女子は47・9%で、運動部離れが顕著。北信越5県の体育大会の成績では“万年5位”の状態がここ数年続いている。半面、学校の部活動終了後や土日曜日や祝日などに、地域のスポーツクラブなどで活動する「社会体育」の形態をとる運動部が増えている実態があるという。

 10日に県庁で開いた検討委では、会長に日体協公認スポーツドクター県協議会副会長の金物寿久長野赤十字病院副院長を選出。県教委からは、専門外を指導する顧問がいないのではないか▽大会に向けた過剰な練習でけがや故障が多いのではないか▽他県での実施がまれな授業前の朝練習は有効か▽睡眠時間や家庭学習時間に影響を与えているのではないか−などが検討すべき課題として示された。

 これに対して各委員からは、「スポーツ活動に子供たちを送り出す家庭の役割も論議すべきだ」「顧問や保護者、子供たちが実際にどう考えているのか、生の声を聞きたい」「いまの部活はレギュラーの少数の子供たちと、レギュラーになれなくてもいいという多数の子供たちに分かれてしまっている」などとする意見が出され、多岐にわたる問題が浮き彫りとなった。