気象庁は本年度、諏訪市と茅野市境の車山山頂(1925メートル)にある車山気象レーダー観測所の設備を一新し、「ドップラーレーダー」を導入する。雨雲や風の動く方向と速さが観測できるようになり、同庁は発表する竜巻注意情報などの精度の向上に役立てる。9月に着工し、11月稼働を目指している。

101 長野地方気象台(長野市)によると、従来のレーダーは電波が雨粒などに当たってはね返ってくる時間から距離を計算し、雨雲などの位置を探知していた。ドップラーレーダーは電波の周波数も分析し、送信波と反射波の周波数が変化する性質(ドップラー効果)を利用。雨雲や風がどのくらいの速さで近づいているか、遠ざかっているのかが分かる。
 同気象台技術課は「竜巻や突風の一種であるダウンバーストへの警戒を求める声が高まっている。ドップラーレーダーの導入で、予報や分析の精度向上に貢献できる」としている。
 気象庁は2005年度から国内20カ所の気象レーダーを順次ドップラーレーダーに切り替えており、本年度の車山、牧之原(静岡県菊川市)、名瀬(鹿児島県奄美市)への導入で全ての施設への配備を終える。3基の総設置費用は約10億7300万円。
 設置工事では、現在と同規模の直径約4メートルのアンテナと、アンテナを覆う直径7メートル、高さ9メートルのドームを設け、制御設備、停電時用の発電機など、ほとんどの機器を新しくする。機材は麓からヘリコプターで運び、現地で組み立てる。9月24日着工、11月1日稼働の予定。
 車山の観測所は1999年、富士山頂の「富士山レーダー」廃止に伴う後継として建設された。普段は無人で、気象庁が遠隔操作でデータを送受信。管理は長野地方気象台がしている。 (信濃毎日新聞)