22日、当地で閉会式を行い、10日間の大会は幕を下ろした。次回は16年、94年冬季五輪の舞台にもなったリレハンメル(ノルウェー)で行われる。

 10年にシンガポールで開かれた第1回夏季大会に続き、冬季大会も終えたユース五輪。若者への教育と競技の両立を図ったジャック・ロゲ国際オリンピック委員会(IOC)会長の「理想」は、手探りながら一定の成功を見た。だが、問題の萌芽(ほうが)も見え始めており、今後、回を重ねるごとに理想と現実の矛盾が拡大する可能性も否定できない。

 日本は今大会、金2個を含む計16個のメダルを獲得した。32人の選手で臨んでおり、単純計算で2人に1人はメダルを獲得したことになる。市原則之選手団長は「ユース五輪なのでメダルの数について言わないようにしてきたが、結果を見ればこの年代の日本の競技力は相当高い」と評した。

 だが、夏季大会同様、米国など一部の国はトップ層を派遣していない。ユース五輪の教育的側面を重視したためと見られるが、今後これらの国々が一線級の派遣を始めた場合、「メダル競争の場になってくるかもしれない」(市原団長)。大会組織委は夏季大会同様に国・地域別のメダル獲得数を公式発表しなかったが、競技水準の向上と「勝利至上主義」の抑制を両立させる難しさは、今後も課題となる。

 目玉の一つ、文化・教育プログラムは今回、選手村ではなく食事会場を兼ねた市内中心部で実施し、競技が少ない夕方や夜間にシフトするなど改善を図った。

 市原団長によると、日本選手の約9割が、約7割のプログラムに参加したという。だが、カーリングなど一部の団体競技は間断なく試合が続くため、参加が難しかった。

 選手の多くはユース五輪の目的を理解し、プログラムへの興味、関心を示しているだけに、なお一層の環境の改善が望まれる。