「放射線、積雪によって低下」・・・スキー場が安全をPR(福島)

 スキーシーズン到来を前に、東京電力福島第1原発事故による風評被害が収まらない福島県内のスキー場。来場者減を懸念する関係者は「雪には地表からの放射線量を低減する効果がある」とゲレンデの安全性を訴え、来場を呼び掛けている。
 県内のスキー場は12月に相次いでオープンする。二本松市のあだたら高原スキー場には例年、県外から約40校が修学旅行などで訪れるが、今年の予約はゼロ。毎年約10万人が来場するが、運営会社の担当者は「今年は半分もいけば御の字だろう」と話している。
 放射能に対する懸念が背景にあるが、京都大学原子炉実験所の高橋千太郎副所長は「雪には水と同様、放射線を遮る効果があるので、積もれば積もるほど地面からの放射線量も減る」と指摘する。
 県の放射線量調査では、積雪地帯の只見町と西会津町では2009年5月の空間線量(地上1メートル)は毎時0.05マイクロシーベルトだったが、10年2月に積雪10センチの状態で測ったところ、0.03マイクロシーベルトに低下していた。
 猪苗代町は、こうした雪の性質を広くPRし、スキー客の誘致を狙う。気温が0度近くに下がるのを待って、人工降雪機でスキー場に雪を積もらせ、実際にどの程度線量が低下するかを測定。数値をマスコミやホームページを通じて公開する予定。
 ほかのスキー場でも集客対策に躍起である。今冬から、全国85のスキー場で19歳のリフト券を無料にするキャンペーンが始まるが、県内の16施設では独自のサービスも検討。猪苗代町の6スキー場は連携して、ゲレンデを駆け上がる「逆走マラソン」を来年6月までに計8回開催し、「安全安心」をアピールする。