秋空に舞う稲穂 リフトで「天日干し」
company_photo1 スキー場のリフトを使って稲を干す「天日干し」が、新潟県南魚沼市石打の石打丸山スキー場で本格的に始まった。南魚沼の秋の風物詩として知られ、10月半ばまで行われる。
 この天日干しは、シーズンオフの施設の有効利用として04年から始まった。全長800メートル、標高差200メートルのリフトに架けられた稲束は、秒速1メートルの速さで秋空に舞う。雨が降り出しそうな時は、リフトの格納庫に収納し、1週間で乾燥できるという。
 今年は、70俵(4・2トン)を天日干しにする。「天空米」の商標で、10キロ2万2000円で販売されるが、すでに7割が予約済みという。

 リフトを運営する「日本リフトサービス」の大神田裕司社長は「東京電力福島第1原発による影響を心配したが、稲から放射性物質は検出されず、ほっとした。今年も最高においしい天空米を届けたい」と話している。

◇天空米とは?
稲穂がスキーリフトで空中に浮かぶ・・・それが名前の由来
whats_photo2 米は刈り取った後逆さにつるして数日間天日干しをすることにより、稲穂に残された「うまみ」成分が米粒に吸収され、同時に米粒に残る水分が最適な度合いになるため「うまい」米ができる。しかし、最近は刈り取った米をその場で脱穀までしてしまう「コンバイン」という機械を導入するのが一般的で、現在では生産される米の9割がこの方法で処理されているため、米本来のおいしさが十分に引き出されていないのが多い。
 おいしい米を長年作り続けてきた生産農家で育った日本リフトサービス社員の間で、なんとか南魚沼産コシヒカリの本当のおいしさを復活させることができないか? そこで、石打のスキーシーズンは12月中旬から4月中旬までの4ヶ月。それ以外は使われていないリフトの有効活用を検討していたなかで、平成16年にスキーリフトを活用して効率的に米の天日干しをするユニークなアイディアが生まれ実用化された。 このリフトで天日干しをした米を「天空米」と命名し販売を開始した。

◇リフトを活用する優位点は?
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 ・従来の天日干しに比べて、少ない人数で短時間に沢山の米を処理することが可能
 ・リフトはスピードも方向も自由にコントロールができるため、米を風や太陽に当てる角度や時間を最適に調整することができる
 ・米を吊るしたリフトはそのまま格納庫に収容できるため日が落ちる前にすべての米を屋内に収納、突然の雨や夜露に晒さずに干すことができる

 従来から行われてきた天日干しでは夜露や雨降りを防ぐためにその都度小屋に移動することはできない。しかし、格納庫のあるリフトを利用すればいとも簡単に理想的な天日干しが可能となった。

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