17歳は女子選手にとって精神的にも難しい年ごろ。
「生理周期が安定し、ホルモンバランスも整ってくる時期。(体の面からいうと、だんだん落ち着いてくるはずなのに)メンタル的な相談は女性の方が多いのは、選手という特殊な環境の影響が大きい」という。

■精神的に未熟なまま、重圧と向き合う
 男子選手は大抵、20代になって世界で戦うレベルに到達する。女子は早熟とされるが、それでも20代でピークを迎える競技の方が多いし、体重増は問題でも、体形変化が問題になる競技は少ない。 しかし、フィギュアなどの採点競技は10代でトップクラスになり、20代前半での引退も稀ではない。精神的に未熟なまま、戦うプレッシャーに向き合わないといけない。 「自分の物事の見方が変わる年齢。男子は7年スパンで変化に対処できるけれど、女子は競技生活のピークが早く、2、3年で対処しないといけない」と、体操女子日本代表のセルゲイ・バツラーコーチは語る。そして、 「精神的な変化は男子にもある。女子は変化のある時期に、結果を出さないといけないから大変なんだ」と・・・。

■17歳ぐらいから現実が見え始める
 「15歳くらいまでは『五輪に行きたい』と無邪気に言える。17歳くらいから現実が見え始める」と、シンクロの元日本代表チームリーダーの金子正子さん。 自分に足りないもの、ライバルの動向、五輪の意味……、いろんなものが見え、焦りも生じる。

■しっかり対処すれば変化のリスクは最小に
 「ただ楽しくてやっていたら、4回転ジャンプまで跳べていた。でも、トリノ五輪前に注目されると、訳が分からなくなった」と安藤選手は当時を振り返る。 周りを気にせず、自分をコントロールできるようになったのは21歳のとき。 23歳で迎えた4月の世界選手権では見事に2度目の女王に輝いた。 「これが大人になるということ」と金子さんは語る。 そこに至るまでの道は選手それぞれ。 「観察と(指導で得た)経験が大事。しっかり対処すれば、変化のリスクは最小限に減らせる」とバツラーコーチは見据えている。
 その代表例が、3人のコーチと母親らで周りを固めた金妍児(キム・ヨナ)選手。 18歳6カ月で初の世界女王となり、バンクーバー五輪で金メダルへと突き進んだ。

■「親も一体化して支えないと」
 スポーツは“肉食”の世界。でも、男女のスポーツ選手で違いがあるようだ。 「男は なりふり構わず、猛進できる。女は なりふり構って、つまずくと引きずる。だから無意識で手を抜くところもある。大人になり始める17歳前後はコーチは付きっきりで、親も一体化して支えないとダメ」と指導歴40年超の金子さんは指摘する。

小学生高学年〜中学生〜高校生へと年齢が上がると同時にアルペン競技では、用具のレギュレーションも変化し、より厳格化してくる。 個人の技術と身体の成長のバランスとは別に、用具は規格化されて、それに応じる必要がある。
これは女子に限った問題ではないが、この年代の選手をかかる親御さん、コーチは毎年のように悩む。日本ではどちらかと言うと、少し背伸びさせても、その先を考えて慣れる意味でも上のランクの用具をセレクトする傾向があるが、最近は世界を見て見直されてきた話も聞くようになった。
この辺は選手本人と良く相談しながら、周りでサポートしてあげたい。無理に新品の用具を毎年更新するのではなく、仲間同士でお下がりなどで融通することで、シーズンに入ってからでも用具を試せることができるとベストな環境だと思う。
また、体格(身長、体重)の変化に合わせて、滑り方を変えていくのも大切な要素。 これは短期間では解決しないため、選手とコーチがそう言う過渡期を認め合いながら、長い目で改造計画を立てる必要がある。

そう言うのが出来るのが、「クラブチームの良さかな」って思ったりする。