『希望与える決断力と行動力 復興支援に奔走する一流選手たち』

 一流選手に欠かせない資質として、勝敗への執着心がある。それは競技の場を離れても、自身が求め、正しいと信じるものに対し、時には激しいほど強い感情となって表れる。東日本大震災の復興支援活動に携わる選手たちの行動をみるとわかる。

 アルペンスキーで昨年のバンクーバー大会まで3大会連続で冬季五輪に出場した佐々木明選手は、震災発生時はオーストリアにいた。車や建物が津波にのまれるニュース映像に衝撃を受け、3日間は眠れなかったという。 「そのままにはしておけない。俺にでもできることがあるなら、何でもやりたい」。佐々木選手は帰国後に数度、義援活動を始めていた選手仲間と車を運転し、宮城県石巻市などの避難所へスキーウェアなど物資を届けた。6月13日からは、佐々木選手ら4選手が宮城県塩釜市の離島、桂島で炊き出しをおこなうなど、被災地を訪れて復興支援活動を続けている。

 行政が「手続き」と「調整」でもたもたしている中、「まずは出来ることから・・・」と、スポーツ選手の決断力と行動力が被災地の人々に希望を与えているようだ。

 月山での山形県連の強化合宿に始まり、引き続き、チャリティレーシングキャンプ、そして、その収益金を活用した被災地での炊き出しへと、この1週間のフットワークは素晴らしいものである。

 今回、活動した4選手は、以下の五輪経験者。
  佐々木 明(エムシ) ソルトレークシティー大会から五輪3大会連続出場
  星 瑞枝(日体大OB会) トリノ五輪代表
  滝沢 宏臣(日建総業・山形中央高出) バンクーバー冬季五輪男子スキークロス代表
  生田 康宏(東京美装・日大山形高出) トリノ冬季五輪アルペン男子回転代表